三つの衆院補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)が28日、投開票される。自民党派閥による裏金事件が明るみに出てから初の国政選挙で、唯一の与野党一騎打ちとなった島根1区(松江市など)の勝敗が、岸田文雄首相の政権運営や衆院解散戦略、野党の戦略などに影響を与えるとみられる。
最終日の27日には、首相(自民総裁)と立憲民主党の泉健太代表が島根1区に応援入りした。
島根1区は、自民の細田博之前衆院議長の死去に伴う。自民は元財務官僚の錦織功政氏(55)を擁立。報道機関の情勢調査で野党候補にリードを許している状況から追い上げようと、首相は急きょ訪れた。松江市内で街頭演説し、「なんとしても大逆転を果たさせていただきたい。自民党改革ののろしを、ここ島根から上げていただきたい」と訴えた。
自民は、首相がこの日を含め2回応援に入ったほか、小渕優子選挙対策委員長や小泉進次郎元環境相、石破茂元幹事長らも入った。
対する立憲は、前職の亀井亜紀子氏(58)を立てた。泉氏は27日、松江市内であった島根県中央メーデーの会場前で演説し、「保守王国と言われる島根1区でも、もう自民党の政治は許さないとの声が上がっている。白黒はっきりつけて政治改革を前に進めよう」と訴えた。
泉氏が告示後に島根1区を訪れたのは4回目。唯一の与野党一騎打ちの戦いを制すれば「自民党政治の直接の審判になる」(泉氏)と位置づける。立憲は、野田佳彦元首相、枝野幸男前代表らが応援に入った。
東京15区(江東区)は区長選での公職選挙法違反の罪で有罪が確定した柿沢未途氏=自民を離党=の辞職に伴う選挙で、9候補が争った。自民は独自候補擁立を断念。立憲や日本維新の会が擁立したほか、国民民主党は小池百合子都知事が支援する無所属を推薦した。
長崎3区(佐世保市など)は、安倍派の裏金事件で略式命令を受けた谷川弥一氏=自民を離党=の辞職に伴う。自民は「不戦敗」で、立憲、維新の2候補が争った。(今野忍、伊沢健司)