写真・図版
首相指名選挙の決選投票で首相に選ばれ、一礼する自民党の石破茂総裁(中央)=2024年11月11日午後4時11分、国会内、上田幸一撮影

 緊。張。感。きん。ちょう。かん。

 一文字ずつかみ締め、小躍りならぬ極小躍り程度のささやかなステップは踏んでしまった10月28日、総選挙の結果が確定した朝。政治が緊張感を取り戻す、国会に緊張感が生まれる。この十余年、この国の政治を覆っていた黒い霧が少しは晴れるかも、しれない――。

 野党第1党の代表、ドジョウを自称する御仁への警戒心は私とて有している。首相時代に「自爆解散」して政権を明け渡したしょうもない過去の持ち主。腰を据えて与党ときっちり対峙(たいじ)できるのか。♪坊ちゃん一緒に遊びましょう~なんてすり寄って、そのうち鍋で煮込まれてしまうのではないか。

 泥鰌(ドジョウ)鍋囲みて誰が生き残る(柴山猛)

 でも、それでも私は期待している。野党第1党が148/465というボリュームで〝でん〟とある国会に。だってこの十余年、国会はまるで政府の下請け機関、議事堂ではなく、決をとるだけの表決堂に成り下がってしまっていたんだから。私、憤死させられそうだったんだから。

 政治学者の丸山真男は、国会の政治的機能は大きく二つあると言っている(「この事態の政治学的問題点」)。

 ひとつは、国民の間にあるさ…

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