沖縄県の与那国駐屯地で10月末、離陸しようとしていた陸上自衛隊の輸送機オスプレイの左翼が地面と接触した事故で、陸自は14日、エンジン出力を上げるスイッチの入れ忘れが原因だったとする調査結果を公表した。再発防止策を講じ、取りやめていた同型機の訓練飛行を15日以降に再開するとしている。
事故は10月27日、日米共同統合演習中に起きた。オスプレイの操縦士は本来、離陸の際にエンジンの出力を上げる「インテリム・パワー・スイッチ」をオンにするが、陸自によると、この日は操縦士がオンにする手順を失念した。
それにより高度が下がり、急きょ着陸しようとして機体が左右に揺れ、左翼が地面と接触した。操縦者は、離陸直前に搭乗人数が予定より増えたことや、搭乗予定の陸自隊員の一部が所定の時間に遅れたことに気をとられ、スイッチ操作を失念したという。
陸自は再発防止策として、スイッチを目立たせて失念を防ぐため、テープなどでマーキングするとしている。陸自トップの森下泰臣・陸上幕僚長は14日の定例記者会見で「地域のみなさまに不安があるなか、(オスプレイの)運用への信頼が失墜しかねない状況となったことは大変遺憾だ」と述べた。
陸自のオスプレイ全17機は、本来の配備先である佐賀空港(佐賀市)西側で建設中の新駐屯地が完成するまでの間、千葉県の木更津駐屯地に暫定配備されている。(矢島大輔)