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切れ味鋭くにんじんを切る超硬合金包丁「KISEKI」=2024年11月29日午前11時13分、岐阜県関市、小玉重隆撮影
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 刃物のまち、岐阜県関市にある老舗の工業用刃物メーカーが挑んだ家庭用高級包丁が飛ぶように売れている。「黒衣」ビジネスからの脱却をめざしてつくった包丁「KISEKI:」は、工業用で鍛えてきた緻密(ちみつ)な技術を生かして誕生した。

 底冷えのする曇天の昨年11月下旬、創業128周年を迎えた老舗企業、福田刃物工業の工場は熱かった。「KISEKI:」の製造現場を見学・体験できる週2日・1回5人限定の個人向け工場ツアーで参加者は実際に包丁で切れ味を試し、「すごく切れますね」と感嘆の声をあげた。

 発売は2023年3月。三徳包丁で定価は税込み3万4650円と値は張るが、注文しても1年1カ月待ちという人気商品だ。1年半で約5億円の発注を受け、贈答用に買い求める人も多い。

 神奈川県からツアーに参加した会社員森岡恒夫さん(70)は7月に購入した。「切れ味がすごく良くて気持ちいい。普通の包丁じゃない」

鋼でもステンレスでもない 国内初の試み

 世界三大生産地と言われる関…

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