雑誌の原稿や写真を発注した下請け業者に不当に低い代金しか払わなかったとして、公正取引委員会は12日、出版大手KADOKAWA(東京都千代田区)とその完全子会社に対し下請法違反(買いたたき)で代金の支払いと再発防止を求める勧告を出し、発表した。
子会社は「KADOKAWA LifeDesign」(千代田区)。公取委によると、2社は月刊の生活情報誌「レタスクラブ」の原稿執筆や写真撮影を委託した26の事業者に対し、2023年4月発売号以降の原稿料などの代金を一方的に引き下げていたという。
公取委の試算では、直近の発注単価と比べた引き下げ率は最大39.4%で、大半が10%以上だった。差額の総額は計約590万円という。公取委は2社に対し、差額分を各下請け業者に支払うことも勧告した。
代金を引き下げられた26事業者のうち21が個人事業主で、公取委はフリーランスも含まれるとみている。引き下げ通告を受け入れた理由を公取委が聞いたところ、「今後の仕事がなくなる可能性があるため何も意見を言えなかった」「(KADOKAWAとの)立場が違い過ぎて抵抗しても変わらないと思った」「今後の発注がなくなると困るので、あきらめるしかなかった」などと話したという。
KADOKAWAは勧告を受け、差額に相当する金額を下請け事業者に支払うとし、「再発防止に取り組み、法令遵守(じゅんしゅ)を徹底する」などとコメントを出した。(高島曜介)