パラリンピックの車いすテニス男子シングルスで3度の金メダルに輝いた国枝慎吾さん(40)は今大会、NHKの「アスリートナビゲーター」としてパリに滞在した。車いすテニスの男女シングルスを制した上地結衣(30)と小田凱人(ときと、18)の試合を間近で見届けた。

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車いすテニス男子シングルスで優勝した小田凱人(左)と話す国枝慎吾さん=伊藤進之介撮影

 いろいろな競技の会場に行き、フランスの人たちの熱気を浴び続ける日々でした。

 現役時代、テニスの4大大会の中でも、全仏オープンを開くパリが一番、応援が熱いと感じていました。とくに長年の宿敵だったステファン・ウデ選手(フランス)との一戦だとアウェー感がすごかったです。でも、僕が良いショットを打てば、拍手を送ってくれる。フェアなリスペクトも感じました。

 スポーツをよく知っている、目が肥えている。今回、陸上や競泳などの会場でも、そう感じました。そして、皆が場内に流れる音楽に体を揺らせ、楽しんでいる。国民気質もありますね。

 上地選手、小田選手と、日本の男女がシングルスで優勝した車いすテニスは感動しました。NHKの中継で解説していたのですが、仕事として冷静に戦況を分析しなくてはと思いつつ、言葉に詰まる場面もありました。

 特に上地選手はこの1年余り、助言をする立場だったので、より感情移入してしまいました。

上地選手が絶対女王に勝つために立てた戦略、小田選手が世界1位を破った決勝で感じた「怖さ」とは――。記事後半で、2人をよく知る国枝さんならではの視点で語っています。

 上地選手が試合中、スタンド…

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