写真・図版
勝田忠広(かつた・ただひろ) 1968年生まれ。専門は原子力政策。原子力規制委員会の検査制度や原子力施設の安全性向上をテーマにした検討会などに外部専門家として参加した。

インタビュー連載「電ゲン論」

 「脱炭素社会」の実現が叫ばれるいま、あらためて「電気」をどうつくるべきなのかが問われています。原発の賛否をはじめ、議論は百出しています。各界の著名人にインタビューし、さまざまな立場から語ってもらいました。

〈エネルギー基本計画〉

 将来必要になる電気を、火力や再生可能エネルギー、原子力でどうまかなうか。日本の中長期的なエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」の見直しに向けた議論が今年5月に始まりました。政府は昨年2月に原発の建て替えを進める方針を閣議決定しており、その道筋を基本計画でどう具体化するかが注目されています。

審議会は「陳情の場」、人選や議論にも偏り

 過去のエネルギー基本計画を振り返ると、計画と実態のずれが大きく、エネルギー自給率は低いままです。好転させるには、根幹にある法律を見直す必要がある――。エネルギー基本計画の議論を研究してきた明治大の勝田忠広教授(原子力政策)は、こう問題提起します。

 ――基本計画の見直し議論が、経済産業省の審議会で続いています。電力業界は、原発の建て替えの必要性を計画で明記するよう、政府に求めています。

 必要性が明記されれば、電力会社が原発の建て替えを進めたいとき、地元に「国の基本計画に書いている」と説明ができる。地元を説得できる材料になるということでしょう。

 基本計画は、これまでもそういう使われ方をしてきました。審議会も「国に陳情する場」になっているように見えます。

 ――人工知能(AI)を使い…

共有