閉店した「ふらんすや」の前に立つ店主の今田修さん=2024年12月29日、東京都三鷹市、平山亜理撮影

 JR三鷹駅近くの「ふらんすや」は、榎本里紗さん(40)が幼い頃から通うお気に入りの店だ。

 鶏肉とマイタケをソテーし、トマトソースと生クリームで煮込んだチキンのトマトクリーム煮スパゲティは、甘みと酸味が混ざり、ストロガノフのような特別なうまみがある。イチゴ入りのカスタードクリームと生クリームをパイ生地で挟み込んだミルフィーユも絶品だ。

ふらんすやの「チキンのトマトクリーム煮」=榎本里紗さん提供

 店主の今田(こんた)修さん(75)が、はにかんだ笑顔で迎えてくれる。値段も手頃で、デザートまで食べても、1人2千円もしない。宣伝もしないのに、いつも常連客でいっぱいだった。

 ところが昨年10月、両親と弟で店を訪れると、淡々と「来月閉める」と告げられた。突然のことに驚いた。

 「マスターの味を二度と食べられなくなるなんて。実家がなくなるみたい」

 せめて自分で作りたい。再現して、子どもたちにも食べさせたい。好物のレシピを教えてほしいと、今田さんに頼み込んだ。

閉店の貼り紙に届いたたくさんのメッセージ

 今田さんは青森出身。初めて…

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