当期損益が3年ぶりの黒字になった三鉄

 開業40周年を迎えた三陸鉄道(岩手県宮古市)の2023年度のもうけは、県や沿線市町村からの補助金を含め、3年ぶりに黒字となった。ただ、燃料費の高騰などの影響で経常損失は6億6721万円を計上。赤字は過去2番目の大きさとなった。

 三鉄によると、震災学習列車やこたつ列車、ラッピング列車などの企画に加えて、大型客船の入港やみちのく潮風トレイルの人気などで海外からの観光客が増加。新型コロナの5類移行で、観光客も持ち直してきた。

 輸送人員は前年度比101.4%の61万8958人、鉄道事業収益も108.6%の3億8652万円となった。最終的な当期純利益は2677万円を確保した。国の補助金、県や沿線市町村の運行支援交付金などを含めた特別利益は15億5448万円。

 輸送人員の内訳をみると、定期券利用者が1万9312人減り、前年度比94.7%。観光客ら定期外の利用比率が高まった。40周年の記念イベントなどが始まった4月期の輸送人員は5万1402人(前年同月比5・7%増)で好調な出足となった。

 村上富男・事業本部長は「海外からの観光客が増えて、ウニ列車などイベントも好調。今後もイベントをうっていきたい」。経費について「すごい勢いで燃料費や資材が高騰している。今後5年間で開業当時に入社した約50人の社員が定年を迎える予定で、しばらくは人件費が膨らむが、それ以降は落ち着いてくる」と話した。(佐藤善一)

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