ミルクスタンドの地下に完成した、牛乳製造の工房=東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目
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 とても小さな乳業メーカーが、東京・吉祥寺に今夏、誕生する。作るのは、一つの牧場の生乳だけを使った、シングルオリジンのクラフトミルク。第一弾は、東京23区で唯一残る、練馬区の牧場の牛乳を発売する。顔の見える牛乳作りで、日常と縁遠くとらえられがちな酪農を、暮らしにもっと近づけたいという。

 牛乳の製造を始める「武蔵野デーリー」は、一昨年に吉祥寺でミルクスタンドを開いた。放牧酪農を中心に、こだわりのスタイルで牛を飼う牧場が作る牛乳を取り寄せて、「クラフトミルク」と呼んで週末に販売してきた。

 一般的な牛乳は、いくつもの牧場の生乳が混ざり合ってできている。数多くの牧場から、牛乳を製造するメーカーの工場へと生乳が集められ、殺菌を経て容器に詰められる。

 製造施設が必要で、販売にも手がかかるため、自らの生乳で牛乳を作っている牧場は全国的にも数少ない。ただ、牛乳の味は、季節や風土、牛の種類、飼料などで変化する。草の風味がしたり、さらっと甘かったりと、シングルオリジンの牛乳は個性が際立ち、牧場ごとの味を楽しめる。

 武蔵野デーリーがミルクスタンドで出している一番人気の「3種の飲み比べセット」では、そんな違いを実際に体験できる。

 副店主の木村充慶さん(38)は全国150カ所以上の牧場を見て回り、多様さに魅了された。自ら牛乳を作っていない牧場のものも、クラフトミルクにして販売しようと企画した。

 倉庫だった店の地下を改造し…

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