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ロボット工学が専門の浅間一・東大名誉教授

 東京電力福島第一原発で、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し作業が難航している。廃炉作業の助言をしてきた浅間一・東大名誉教授(ロボット工学)は、日本企業が陥りがちな問題が背景にある可能性を指摘。今後の取り出し作業で使われる予定のロボットアームについても、懸念があるという。

 ――燃料デブリ取り出し装置の先端にあるカメラ映像が確認できなくなったため、東電は9月25日、格納容器から装置を出しました。

 家電などの製品は時間をかけて様々なテストをして世の中に出すので、信頼性がとても高いですが、廃炉に使う装置は「一品開発」。短い間に最低限のテストはしますが、信頼性が低くならざるをえない面があります。

 ――格納容器の中はデブリの冷却水を常にかけているため、湿度が高いそうです。

 どこかのコネクター(装置とケーブルなどの接続部)に水が入り、ショートした可能性はあります。ロボットでよくあるのはコネクターの接触不良です。今回の装置は先端を下に向けられる設計で、カメラのケーブルが関節を渡っているはずです。動いたときにケーブルが伸び縮みして劣化するなどの接触不良が起きている可能性もあります。

 ――今回の作業に使った「釣りざお式装置」は、2019年の調査でも活用しています。なぜ今回はトラブルが起きたのでしょう。

 19年の調査を担当した企業…

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