ロシアのタンカー2隻が座礁して大量の重油が流出した事故の影響で、黒海などに生息する絶滅危惧種のイルカが危機に瀕(ひん)している。ロシア独立系メディアによると、すでに11頭の死体が見つかったという。ウクライナ侵攻の悪影響も懸念される中、専門家の中には「10年は影響が残る」との見方も出ている。
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2隻は15日、アゾフ海と黒海を結ぶケルチ海峡で悪天候のため座礁。当初の流出量は約3千トンとみられていたが、流出が続いて約4千トンになった可能性がある。
ロシアメディアによると、海域には、ロシアなどが絶滅危惧種に指定するネズミイルカやバンドウイルカ、マイルカなどが生息。独立系メディアは少なくとも11頭のイルカと140羽以上の鳥が重油に汚染されて死んだと伝えている。
大規模な重油流出が生態系に与える影響について、ロシア科学アカデミーの専門家はタス通信に対し、「10年は確実に残り、それ以上になるかもしれない」との懸念を示した。
専門家によると、海域は魚の回遊ルートで、イルカには格好のえさ場だ。汚染された魚を食べて毒物が蓄積されるほか、重油に反応して皮膚にやけどなどの症状が出る恐れがある。
別の物質と混ざって海底に沈んだ重油が少しずつ海面に浮上するとみられ、「(長期にわたり)生態系に悪影響を及ぼすだろう」と指摘した。
2007年に1600トンの…