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平壌で2024年6月19日、「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名したロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩総書記=AP

 韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は10日までに、北朝鮮が昨年、ロシア各地の建設現場に数千人の労働者を派遣したことを確認したと明らかにした。北朝鮮による海外への労働者派遣は国連安全保障理事会の制裁決議違反にあたり、韓国政府などは状況を注視している。

 韓国政府関係者は、ロシアではウクライナ侵攻の長期化に伴って多くの若者が軍隊に取られ、労働力不足が起きていると指摘。一方の北朝鮮にとっても、労働者の派遣で外貨稼ぎができ、「双方の利害が一致している」と述べた。

 国連安保理は2017年の決議で、海外で働く北朝鮮労働者のもたらす収入が核・ミサイル開発の資金源になっているとの観点から、労働者を19年12月までに送還するよう加盟国に求めていた。

 韓国統一省報道官は10日の会見で「労働者の派遣は明白な国連安保理決議違反であり、すべての加盟国は決議を守る義務がある」と強調した。

 北朝鮮とロシアは関係を深めており、北朝鮮は昨年からロシアへの兵士派遣に踏み切った。昨年6月には有事の際の相互の軍事支援を盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」が締結され、同12月に発効した。

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