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2021年に世界で初めて宇宙空間での実証に成功したデトネーションエンジン。右奥は地球=名古屋大、JAXA提供

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の観測ロケットが14日、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられる。衝撃波を利用した「デトネーションエンジン」の性能の実験が目的で、成功すれば世界初となる。日本が開発で先行するこのエンジンは、ロケットの将来を一変させる可能性を秘めている。

 デトネーションは日本語で「爆轟(ばくごう)」。音速を超える衝撃波を伴った爆発を意味する。衝撃波によって燃料を圧縮させ、急激に化学反応させるのがこのエンジンの原理だ。

 20年以上開発に携わり、今回の打ち上げ実験のエンジン班チーフを務める名古屋大の笠原次郎教授(デトネーション推進工学)は、「これまでのロケットエンジンとは考え方を根本的に変えた」と説明する。

 従来型も、大量の燃料を短時間で燃やしているが、むしろ衝撃波でエンジン自体が壊れないよう、ゆっくり反応させるという思想で設計されているという。

 それに対し、デトネーション…

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