The Rubik’s Cube Turns 50
よく晴れた1月最初の土曜日の早朝、サンフランシスコのダウンタウンにあるモスコーニ・センターの広大な講演ホールに、トーマス・ロキッキ博士と数百人の熱狂的な仲間が集まった。そこでは大規模な数学の学会が開催中で、引退したプログラマーでカリフォルニア州パロアルトを拠点とするロキッキは、ルービックキューブ誕生50周年を祝う「真剣なレクリエーション数学」についての2日間の特別企画を手伝っていた。主役はルービックキューブの発明者であるエルノー・ルービック元教授。午前8時、スペイン南部からビデオ会議で参加した。
ハンガリー出身の建築家、デザイナー、彫刻家であるルービックは、ロキッキの共同主催者であるマサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピューター科学者エリック・ドメイン、カリフォルニア州ポルトラバレーの元コンピューター科学者ロバート・ハーンとともに、質疑応答のセッションに加わった。
ロキッキはルービックに、初めてキューブを解いたときのことを尋ねた。「あなたはコーナーファースト(角のパーツから位置を合わせていく手順)でそろえたのか」
最近では、新米のキューブ愛好者は、YouTubeの解説動画を1.5倍速で見ながら学ぶ。ロキッキはしかし、代わりに昔ながらの戦略を勧める。たとえ数週間から数カ月かかったとしても、一人で道を切り開き、解法を発見するやり方だ(名高いコンピューター科学者のドナルド・クヌースの場合、夕方に食卓で始めて朝までぶっ通しで続け、12時間もかからなかった)。コーナーファーストは、よくある解法のひとつだ。コーナー(角)を先にそろえてしまえば、エッジ(辺)は比較的簡単に、正しい位置にあてはめていけるからだ。ルービックは、そう、確かにコーナーファーストでやった、と答えた。ルービックは、キューブの解法や人生全般に対して哲学的なアプローチをとることで知られているが、「理解することが、解くこと。それが私のやり方だった」と付け加えた。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
記事では、ルービックキューブがどうやって発明され、熱狂を生んだのかをたどっていきます。そして、「神の数」など、キューブと数学をめぐる最新の探究の成果が紹介されています。
■やり過ぎて腱鞘炎に…