2008年のリーマン・ショック時に国の経済対策で、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫、東京)に国から出資された資金について会計検査院が調べたところ、約110億円分が過大だった。検査院は機構に出資金の見直しと国への返還を求めている。
住宅金融支援機構は、民間金融機関の住宅ローンが返済困難になった場合、金融機関に保険金を払う事業などを行う独立行政法人。リーマン・ショック時は住宅市場が冷え込み、機構は国の出資金761億円を運用し、09~12年に実施された住宅ローンを対象とする保険の保険料率の引き下げを行った。
検査院によると、23年度末時点で機構は約622億円の出資金を保有する。23年度の運用益は約12億円、保険料率の引き下げ費用は約8億円で、約4億円の差額が出た。対象となるローンが減り、差額は毎年増えているという。検査院は今後、事業終了まで出資金を保守的に運用したとしても、約110億円は過大と試算する。
機構は「試算の違いもあり、現時点ではまだ不足が生じている。必要額が確定した際には返還を行う」としている。(座小田英史)