「メタバースから地域につながるこどもの居場所」事業の協定を締結したカタリバの今村久美代表理事(左)、太陽の家の対馬あさみ理事長(右)と桑名市の伊藤徳宇市長=2024年8月20日午後3時41分、桑名市役所、鈴木裕撮影

 学校にも、リアルな居場所にも行きにくい子どもたちに、まずはネット上の仮想空間で自分が安心できる居場所を見つけてもらいたい。こんな願いを込め、三重県桑名市が「メタバースから地域につながるこどもの居場所」事業を11月にも始める。仮想から現実へ、子どもたちと段階的に信頼関係を築きながら支援を進めていく。

 2022年度、全国で約29万9千人と過去最多だった小・中学校の不登校の児童生徒数。桑名市は今年度までに、6カ所のリアルな居場所を整備し、食事や遊び、学習の提供や資格取得の支援、SNSを活用した寄り添い支援などを進めてきた。

 だが、その中で、「ほかの子と会うのが怖い」「自分に自信がない」といった理由で、居場所にも行けない子がいることが分かってきたという。

オンラインで自習、ゲーム、おしゃべりも

 そこで注目したのが、インターネット上の仮想空間「メタバース」だ。事業は、不登校支援に取り組む認定NPO法人「カタリバ」(東京)が運営するメタバースの「居場所」を活用。ここを入り口に、桑名市内で子ども食堂などを展開するNPO法人「太陽の家」が運営するリアルな居場所への参加につなげることをめざす。リアルの居場所に抵抗感がなくなった子どもが希望すれば、学校に通うための支援を市子ども総合センターが担当する。

 メタバースの居場所では、おしゃべりを楽しむ部屋や、支援する専門スタッフとZoomで話ができる場所のほか、自分のペースで勉強するオンライン自習室、イラストやプログラミングを学べる部屋、オンラインゲームを楽しめる部屋などが用意されている。子どもたちはアバター(キャラクター)で行動するので、参加しやすい。「メタバースは、子どもたちとの親和性が高い。リアルな居場所に行けない子どもたちのハードルを下げるのに効果的だと感じた」(伊藤徳宇市長)という。

 センターが把握する市内の不登校の子どもや保護者に案内し、希望があればアプリがセットされたパソコンをカタリバが無償で提供するという。

 20日に桑名市役所で協定締…

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