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日本通運が開設した半導体関連企業向け倉庫を見学する「北海道半導体物流検討会議」のメンバーら=2024年11月21日午後2時17分、恵庭市内、丸石伸一撮影
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 次世代半導体メーカー「ラピダス」や関連企業などは28日、原材料の輸送や貯蔵の共同化を今春から試行する方針を固めた。まだ北海道内に半導体向けの大量輸送網がなく、各社バラバラでは効率が悪いためだ。本州から運ぶ際の障壁が多い北海道特有の事情もある。

 ラピダスなど関連企業や物流業者など15社は同日、「北海道半導体物流検討会議」を昨秋に続いて開き、共同輸送や共同貯蔵を検討する必要があるとの認識で一致した。このうち複数の企業が、来年度からの試行に参加する意向を明らかにした。共同化の有効性を実証する目的で今後、具体的な検討に入る。

 会議の事務局を担う北海道経済産業局などによると、道内にはまだ関連企業が少ないため、ラピダスが道内企業から直接調達できる原材料も限られる。2027年の量産開始に向けて、ラピダスに大量の資材を安定的に届ける物流網を一からつくる必要がある。

 共同化するには、各社が納入する資材の量や時期などを互いに調整し、競合する同業他社にも伝えなければならない。そうした企業間の情報共有は一般的ではなく、「全国初の取り組み」(担当者)という。

「危険物倉庫」を苫小牧港に

 海からの玄関口・苫小牧港(苫小牧市)の一角で、最新機能を備えた倉庫2棟の建設工事が続いている。港湾運送大手「苫小牧埠頭(ふとう)」(同市)が今夏、開設する予定だ。

 半導体をつくるのに必要な高圧ガスや薬剤の多くは、可燃性や毒性がある「危険物」に指定されている。建設中の2棟はそうした材料を保管できる「危険物倉庫」だ。

 苫小牧港なのには理由がある…

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