大人にかわって家族の介護や世話を過度に担っている子どもが「ヤングケアラー」として認識され、支援が進みつつあります。来日したヤングケアラー研究の世界的な第一人者、英マンチェスター・メトロポリタン大学のソール・ベッカー教授に話を聞きました。
――ヤングケアラーの研究や支援が最も進んでいるイギリスで、問題が注目された初期から研究し、世界的第一人者としてこの分野をリードしてきました。
大学の講師だった1992年、教え子から「ケアの役割を担っている子どもに関する研究に興味があるか」と聞かれました。一緒に助成金を獲得し、15人のヤングケアラー当事者を対象に、担っているケアや支援のニーズなどを聞き取りました。教育、健康、生活、人生のチャンスなど様々なことに否定的な影響があると分かり、「ヤングケアラーの隠された生活」が明らかになりました。
93年に調査報告書『ケアを担う子どもたち』(Children Who Care)として発表しました。メディアの注目を集め、チャリティー団体からさらなる調査の資金が集まりました。
さらに、これまで国内外で5…