ヤリイカの雄には、大型と小型の二つのタイプがいて、繁殖の仕方も異なる。違いを生む要因を、イカの頭の中にある「石」を調べることで突き止めたと、東京大などの研究グループが発表した。

 大型雄は、体長が平均で30センチほどある。他の雄と争った後で雌とペアになり、産卵する雌に付き添って交接(交尾)するため、ペア雄とも呼ばれる。

 一方で、平均15センチほどの小型雄は、他の雄とは争わない。成熟する前の雌に精子を渡したり、交接するペアにこっそり割り込んで(スニーキングして)卵に精子をかけたりするため、スニーカー雄と呼ばれる。

ヤリイカ=細野将汰さん提供

 同じ種にもかかわらず、大型雄と小型雄では生殖器のつくりなどが異なる。ヤリイカの寿命は約1年で、繁殖期が終わると死ぬため、タイプが途中で変わることはないとされている。

 ただ、この違いが何で決まるのかは分かっていなかった。

 東京大大学院博士課程3年の細野将汰さん(行動生態学)、同大大気海洋研究所の岩田容子准教授(同)らの研究グループは、この解明のため、ヤリイカの頭部にある「平衡石」という組織に目を付けた。

 木の年輪のように1日に1本…

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