モルドバ・沿ドニエストルで2025年1月3日、停電の中、誕生日を祝う住民=同地域のSNSから

 ロシアが旧ソ連構成国モルドバへの天然ガス供給を停止した影響で、同国の親ロシア住民の分離独立派が支配する「沿ドニエストル共和国」で3日、計画停電が実施された。地元メディアが伝えた。家庭向けの集中暖房が止まったことなどで発電量が需要に追いつかないためで、冬の寒さが本格化する中、危機的な状況が深まっている。

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 計画停電は、地域を4グループに分けて午後6時以降、約1時間ずつ実施した。親ロ派の「大統領」は「集中暖房のない家屋は冷え、(電気ストーブなどで)電力需要は伸びる見通しだ。負荷の急増は事故を招く」と述べており、今後も続く可能性がある。

 ロシアが1日にガス供給を停止して以降、地域では約1500棟の集合住宅で集中暖房や給湯が止まり、約7万2千の住宅でガス供給が停止。「政府」は薪ストーブの利用を呼びかける。工業分野でも、食品関係を除く企業が操業を休止した。

 ロシアはウクライナ経由のパイプラインで沿ドニエストルに天然ガスを供給してきたが、ウクライナが昨年末に期限を迎えた通過契約の延長を拒否。別ルートでの供給も可能だが、その前にモルドバ側との債務問題の解決が必要だとして供給停止に踏み切っており、再開は見通せない状況だ。

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