朝日新聞神戸総局は14日、総局記者サロン「メンタルヘルスは政治でよくなる?~デンマークの若手政党青年部幹部と能條桃子さんに公開取材~」を開きました。デンマークの政党青年部幹部・フレデリック・デイラーさん(26)と、一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」(NYNJ)代表理事の能條桃子さん(26)を招き、記者が公開取材をしました。約20人が参加しました。

フレデリック・デイラーさん=大山貴世撮影

 デイラーさんは、メンタルヘルスの不調は経済不安からくるもので政治と関係している、と主張します。どういうことなのでしょうか。

 主なやりとりをまとめました。

 Q:参加者からは「時間に追われて余暇が取れない」「リーマン・ショックや新型コロナで大きく経済も変化し、世の中の流れとメンタルヘルスが関係していると感じる」という意見が寄せられました。お二人はどのような不安や悩みを聞きますか

 【デイラーさん】 デンマークでは、まず気候に対する不安。若者は、どんな社会で子どもを育てていくのかという将来への恐怖を感じるようになっています。

 もう少し身近な話だと、福祉、教育のシステムの変化。これまでは自分のペースで受けられていましたが、近年の政府は急いで教育を受けさせようとしています。

 若者は将来に関する重要な決定を急いでしなければいけない状況になっています。

 【能條さん】 漠然とした将来不安は共有されていると感じます。

 教育に関しては例えば、大学生の就職活動の早期化があります。

 少子化で企業も人がとれるか不安で、学生もちゃんと就職できるか不安。お互いの不安が混じり合い、どんどん一緒に早くなる。システムとして設計できるものが個人主体の対応になり、学生の余裕を奪うという問題が起きています。

 デンマークと違って気候変動は世代的な不安にはなっていないと認識しています。

 社会保障を減らさないといけない中、日本はとりあえず「積み立てNISAをしよう」という自己防衛になっていて、政治にもっと求めようとはなっていません。

写真・図版
能條桃子さん

 Q:能條さんの言う通り、日本だと悩みやメンタルヘルスは個人の問題というイメージがあります

 【デイラーさん】 二つにわけて考える必要があります。一つは若者の将来に対する不安とメンタルヘルス。もう一つは実際にうつやADHDなど診断を受ける人の増加という問題です。

 数年前まではデンマークでも…

共有