ミャンマー東部の国際詐欺拠点「KK園区」から移送される外国人とみられる人々。少数民族系の武装勢力が警護に当たっている=2025年2月22日、武石英史郎撮影

 ミャンマー東部を舞台にした大規模な国際詐欺をめぐり、拠点の一掃に乗り出した武装勢力が26日、現地で保護した28カ国・地域の7141人に上る外国人のリストを作成した。タイメディア「レポーターズ」などが伝えた。今後タイ側へ送還する見通し。現地では日本人の目撃情報があるが、リストには含まれていない。

  • ドローンに妨害電波…異様な詐欺拠点 「まだ日本人がいる」証言も

 リストは一帯を支配する少数民族系武装勢力の一つ「カレン国境警備隊(BGF)」が作成。中国系の犯罪組織の主導で電話をつかった詐欺の拠点が多数作られ、だまして連れてきた外国人を監禁状態で加担させるなど、「コールセンター詐欺」として国際問題になっていた。武装勢力はこうした拠点を保護し、収益の一部を得ていたが、タイ政府などの圧力を受けて今月中旬以降、摘発に乗り出した。

 リストでは中国人が4860人と最も多く、アジア、アフリカに加え、チェコやルーマニアといった欧州諸国の人もいる。多くはだまされて連れてこられた被害者とみられるが、BGFは犯罪に積極的に加担した者も混ざっているとみて、全員を拘束状態に置いているとみられる。

 BGFよりも南側の地域を支配する別の武装勢力「民主カレン慈善軍(DKBA)」の幹部も25日、朝日新聞の取材に対し、外国人400人以上を保護し、タイへの送還準備ができたと述べた。「言葉の問題があり正確には言えないが、日本人は含まれていないと思う」と語った。

 こうした外国人のタイへの送還は、最も多い中国人を優先して始まっているが、武装勢力とタイ側の調整が難航し、本格化していない。

共有
Exit mobile version