Welcome to the Congestion Zone: New York Toll Program Is Set to Begin
1月5日の日曜日から、車を運転する人のほとんどは、マンハッタンの最も交通量の多い地域に入る際に9ドル(約1400円)払わなければならなくなる。その点は明らかだ。
しかし、米国では初となるニューヨーク市の渋滞課金制度[congestion pricing plan]について、それ以外の点では、今なお激しい議論が続いている。
交通やビジネス界、市民のリーダーたち、そして長年困っていた地下鉄やバスの利用者たちは、こう考えている。今回の課金制度は遅きに失したとはいえ、交通渋滞解消のために必要なステップで、老朽化している公共交通システム改修に使える何十億ドルもの資金を調達し、車の台数を減らして持続可能な未来を後押しするものだ、と。
「緊急車両の通行を妨げ、大気を汚染し、人々の時間を浪費している交通渋滞の解決にやっと取り組むのが、渋滞課金制度だ」と、計画を監督するニューヨーク州都市交通局(MTA)のジョン・マッカーシー政策・渉外部長は語る。
しかし、ニューヨーク郊外から通勤している人、市内でも(公共交通機関が不便な)「交通砂漠」の住民、共和・民主両党の公職者は、こう主張する。渋滞課金制度には交通量削減効果はほとんど見込めない上、マンハッタンの外から来るドライバーには代替手段がないまま負担だけを強いるものだ、と。こうした人たちは、課金制度は、財政問題を抱える公社MTAによる「お金のかっぱらい[money-grab]」だと批判している。
「まったくもって見当違いの政策だ」とロックランド郡のエド・デイ行政長官は述べた。彼は計画中止を求めて提訴しており、「公平性、優先順位、説明責任について深刻な疑問を投げかけるものだ」と話す。
ニューヨーク市の制度には、車社会の米国にあってそれぞれに交通問題に頭を悩ませている他の都市の当局者や論者から、熱い視線が注がれている。ワシントンやサンフランシスコなどいくつかの都市では、新型コロナウイルスのパンデミックで中断されたものの、以前は同様の取り組みを検討していた。
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