11月5日に迫った米国大統領選挙では、民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領の両陣営が、膨大な選挙資金を集めています。どれくらいのお金が使われるのか。起業家イーロン・マスク氏のような超富裕層の巨額献金は、どのような制度の下で認められているのか。米国政治経済に詳しい、第一生命経済研究所主任エコノミストの前田和馬さんに聞きました。
もっと知りたいアメリカ大統領選2024
アメリカ大統領選の行方に世界が注目しています。日々のニュースの疑問やこぼれ話や情勢を読み解くヒントなど、選挙をめぐって知りたいあれこれを、専門家のインタビューなどを通じてお伝えします。
――今回の米国大統領選で、両陣営はどれくらいの資金を集めていますか。
政治資金を分析している米国のNPO「オープン・シークレッツ」によると、ハリス氏陣営は、28日公表時点で、主に個人献金で約9億ドル(約1350億円)を集めており、勢いがあります。外部団体が集める間接的な財源としても、約5億9千万ドル(約885億円)を確保しています。一方、トランプ氏陣営は、28日公表時点で約3億7千万ドル(約555億円)、間接財源としては、約6億9千万ドル(約1035億円)を調達しています。選挙が近づくにつれ、両陣営とも、献金は増え続けているとみられます。
2020年の前回大統領選挙でのバイデン、トランプ陣営の支出額の合計は、約57億ドル(約8550億円)でした。選挙資金は近年、増加傾向にあります。理由としては、インフレによる選挙費用の増加や、ターゲットをしぼった広告を打ち出す戦略のコスト増大が考えられます。さらに、間接財源の中で、「スーパーPAC(Political Action Committee=政治活動委員会)」という政治資金管理団体の存在感が増していることが挙げられます。
大富豪が資金投入 活動は「言論の自由」
――スーパーPACとは。
米国の基本的な献金制度から…