モスクワのクレムリンで2023年6月27日、治安機関の兵士らにあいさつするロシアのプーチン大統領(中央)=AP

 ロシアのプーチン大統領が7日、通算5期目の就任式に臨む。最近はウクライナ侵攻の戦況立て直しに自信を見せ、経済も回復基調にある。だが、今も侵攻終結への道筋は見えないまま。さらに長期化すれば、プーチン氏をめぐる三つの不安材料が浮かび上がる。

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①米大統領選の行方は

 ウクライナ侵攻の行方は、今年11月の米大統領選の結果に大きく左右される。共和党の候補者指名を確実にしたトランプ前大統領がウクライナへの軍事支援に否定的な発言をしていたからだ。

 トランプ氏が当選すれば、支援が縮小や中止に向かい、ウクライナがロシアへの譲歩を迫られるとの見方も出ていた。

 そして、プーチン政権もそれを期待している節がある。

 昨年4月から高額の報酬などで契約兵を大々的に募集。ネパールなど国外でも兵士を勧誘している。侵攻に参加した兵士を社会で重用する考えも示し、従業員に志願を促す企業もあるなど、一気に戦況を優勢に持ち込もうとする意図が透ける。

 軍事企業には24時間態勢で砲弾などの増産を指示。ショイグ国防相は3日、「今年に入り、547平方キロを掌握した」と述べ、ウクライナに対して優位な立場にあると強調した。

 外務省のザハロワ報道官が3日、侵攻を解決するための「真剣な提案」を検討する用意があると述べるなど、ロシアに有利なうちに、中国なども巻き込んで、自分たちの要求する条件での停戦交渉につなげたい考えもあるとみられる。

 ただ、長期化で目算が狂う可…

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