紅麴(こうじ)サプリ問題への対応の進捗状況について取材に応じる武見敬三厚生労働相と自見英子消費者相=2024年5月28日、首相官邸、宮脇稜平撮影
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 小林製薬(大阪市)の機能性表示食品の「紅麹(こうじ)」サプリメントを摂取した後に健康被害が相次いだ問題で、厚生労働省は28日、健康被害のあった原料から検出されていた青カビ由来の「プベルル酸」が、腎臓の尿細管の壊死(えし)を引き起こす作用があることを確認したと公表した。厚労省は原料を作る前の段階にあたる紅麴菌の培養過程で、工場内の青カビ(Penicillium adametzioides)が混入したとみている。

  • 工場から青カビ検出、強まる管理ミスの可能性 小林製薬の紅麴問題

 健康被害を調査している日本腎臓学会によると、多くの患者で腎臓の中にある尿細管がダメージを受けることで起こる「ファンコニー症候群」を疑う症状や検査結果がみられている。

 小林製薬は、健康被害が報告されている製品にプベルル酸が含まれていたことを公表していたが、腎臓への影響は不明だった。

 厚労省は原因究明のためにさらなる調査が必要と判断し、国立医薬品食品衛生研究所と大阪健康安全基盤研究所が合同で、健康被害が確認された製品の原料を過去にさかのぼって分析した。

 厚労省によると、実験用のラットにプベルル酸や、サプリの製品を与えて、腎臓への影響を調べたところ、尿細管の壊死がみられた。ただ、低濃度で繰り返し投与したときの影響はこれから調べていくため、厚労省の担当者は「現時点ではプベルル酸が原因とは断定できない」と話す。

 また、健康被害が多く報告されている2023年6~8月に製造された原料から、プベルル酸以外に、青カビが混入した可能性を示す二つの物質も検出された。これらは、紅麴菌と青カビが一緒に培養されることでつくられたとみられる。

 健康被害が報告された原料を…

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