写真・図版
実ったブルーベリーの実=2024年7月22日午前11時47分、福島県三春町西方、岡本進撮影

 福島県三春町は、県内一の「ブルーベリーの里」だ。摘み取りができる観光農園が6軒もあり、収穫を迎えるこの時期、県外からも多くの人たちが訪れる。そんな「名所」となるまでには、ある夫婦の物語があった。

 千葉初吉(はつきち)さん(75)と、かおるさん(68)の夫婦が営む「かおるブルーベリー園」は、滝桜から2キロほど離れた丘陵地にある。育てたブルーベリーは、国内チョコレートメーカー「MAISON CACAO」の商品にも使われる人気農園だ。

 初吉さんが会社の健康診断で、がんが見つかったのは50歳のときだった。まだ観光農園を開く前のことだ。

 周りの地域と同じように、三…

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