まさに五者五様。東京都写真美術館(恵比寿)の「現在地のまなざし」展はテーマも手法も大きく異なる5作家の作品を紹介し、写真を用いた表現の多様さ、幅広さを実感させる。
将来性のある作家の発掘を目的とした、2002年から続く「日本の新進作家」シリーズの21回目。大田黒衣美、かんのさゆり、千賀健史、金川晋吾、原田裕規の5人が出展している。
宮城県生まれで仙台市を拠点に活動するかんのさんは、郊外の新築住宅などを撮影したシリーズを展示している。
真新しい住宅の外観はありふれていて、どこの地域とも特定ができない。しかし後半では、かさ上げされた造成地や工事中の様子が写り、看板に「閖上(ゆりあげ)」「富岡町」といった東日本大震災の被災地の地名が見え、これらが東北の写真だとわかる。
展示室の一角には、一面青色…