タレントの中居正広さん(52)が起こした女性とのトラブル報道に端を発した問題は、多数の企業がフジテレビでのCM放送を見合わせ、フジが一転して第三者委員会を設置することを決め、中居さんが引退を表明するまでに広がった。この事態をどうみるか。ビジネスと人権の問題に詳しい、オウルズコンサルティンググループの矢守亜夕美プリンシパルに聞いた。
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問題は、企業の責任である人権侵害の防止や救済のメカニズムが、フジテレビで機能していないことです。
国連は2011年、「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択し、企業に人権問題への対応を求めました。具体的には、社内外の関係者にヒアリングしたりサプライチェーンを点検したりすることで、企業が人権を侵害してしまうリスクを防止・軽減する「人権デューディリジェンス」の実践や、人権関連の相談や通報を受けた際に適切に対応する「是正・救済措置の整備」などを責務として定めています。
欧米では、この原則に基づい…