設置から約1カ月経った時点の鹿児島総局のビオトープ。草が根を張り、緑色の葉を広げていた=2024年6月26日、鹿児島市

 ビオトープ。耳慣れない言葉に接したのは8月、夏の甲子園真っ盛りの関西だった。大阪であった各地の朝日新聞総局長が集まった場で、九州の総局長が話題にしたという。欠席した私は数日後に伝え聞いた。

 聞いたことがあるような気はしたが、あまりピンとこない。調べてみると「生物が生息する空間」という意味の造語だった。地域に由来する植物や生物が生きている場所のことで、人工的に作った小さな水辺のような場所に動植物を移し、生態系を再現する取り組みも指す。

 朝日新聞青森総局では11月27日にビオトープを設置しました。何の予備知識もない所から始めて、何とか設置までこぎ着けた様子を、3回に渡ってお伝えします。3回目には動画もあります。

 九州では大分、宮崎、鹿児島の3総局で、6月からビオトープを始めているという。局舎のベランダや屋上に小さなプールをしつらえ、近くの川から採ってきた土を盛って水を張り、自然と生える草木やすみ着く生物を観察し、記事にもしている。これを、全く気候の違う北東北でもやってみないかとの誘いだった。

 衆院選後の11月。九州3県と北東北の青森、岩手、秋田の計6県でオンライン会議を開いた。

 「始めると結構面白いのよ」。「だんだん愛着がわいてきて、小さな虫とかを見ていると癒やされるんだ」。九州3県の総局長らは写真を見せながら、まるで我が子の自慢をするように話した。

 ただ、こちらは不安だらけ。私は都会育ちで、コオロギとスズムシの区別すらつかない。はたしてビオトープなど作れるのだろうか。

 「難しく考えなくても大丈夫…

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