【動画】ヒトデは「ある行動」でカニを捕食していると、北海道大学大学院水産学院(函館市)の研究グループが明らかにした=具志堅晴人さん提供

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イトマキヒトデ=具志堅晴人さん提供
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 海藻や生き物の死骸を食べ、「海の掃除屋」として知られるイトマキヒトデが、実は25倍も速く動けるカニを巧みに捕らえる「プレデター(捕食者)」でもあった、と北海道大学大学院水産科学院(函館市)などの研究グループが発見した。発見の陰には海岸で1千匹のヒトデを裏返し続けた学生の努力があった。

 イトマキヒトデに対する認識を変えるかもしれない発見の糸口をつかんだのは、修士課程1年の具志堅晴人さん(23)だ。具志堅さんは高校生の時、水族館で見た「カワテブクロ」に興味を持った。ヒトデにしては見た目が奇妙。「この生き物はどうやって暮らしているのだろうか」。大学選びもかねてヒトデに関する書籍を読み、ヒトデについて学びたい思いが強まった。

 その後、北大に進学。ヒトデへの思いを和田哲教授(動物生態学)に相談すると、「ヒトデが何を食べているか海に行って調査したら」と言われた。イトマキヒトデは食べ物を体外に出した胃を押しつけて捕食する。海にいるイトマキヒトデを裏返し、胃に付着しているものを見れば何を食べているかが分かる。それからは海に行ってはヒトデを裏返すことを繰り返した。

 海岸を3時間ほど歩き回っても見つかるのは多くて40匹。裏返しても何も付いていないときもある。付いていても、海藻のかけらや小さな貝が多かった。海岸に通いはじめて3カ月、計約300匹のイトマキヒトデを裏返したところ、いつもより大きい数㌢メートルほどの何かが付いていた。よく見るとカニの一部だった。

動きの遅いヒトデ、実験は長時間に

 これまでカニが付いていたの…

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