2023年の大会の様子。北海道の大自然の中をひたすら歩く=てしかが歩こうよ大会実行委員会提供
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 北海道で近年、ヒグマの人身事故が相次いでいることなどを受け、道東地域で「夏の風物詩」として親しまれていたウォーキング大会が大幅にコースを変更する。

 毎年7月上旬に道東の弟子屈町で開催されていた「100km歩こうよ大会 in 摩周・屈斜路」。雄大な大自然の絶景を夜通しひたすら歩いてゴールを目指し、感謝・感激・感動を味わう――。そんなコンセプトで、2005年に始まった。

 弟子屈町は世界有数の透明度を誇る摩周湖や日本最大のカルデラ湖・屈斜路湖、温泉などで知られ、人口は約6500人。人口減少が進むなか、「町のすばらしさを多くの人に知ってもらいたい」と地元有志が大会を企画、15回にわたり手弁当で運営してきた。

 北海道らしい、ひたすら続く一本道。コンビニや民家、街灯といった「都会にありふれているものが何もない」コース。地元のおもてなしも好評で、全国から約200人が集まる大会に。北海道外からの参加者が半数を占めていたという。

 実行委員会によると、過去15回の大会の歴史の中で、大きな人身事故が起きたことはない。

 ただ昨今、北海道ではヒグマによる人身被害が相次いでいる。そこに、コースの警備に全面協力してくれていた警備会社の事務所閉鎖も重なった。「手作り」で大会を続けてきた有志たちは、「クマの脅威」や「担い手不足」の課題に直面し、持続可能な運営方法や安全対策を議論した。

 「素晴らしい大自然を夜通し歩いていただくからこそ、大きな感動を得ていただけるという思いは変わらないのですが、これだけ被害が多発している中で、十分な対策も出来ず、皆様の生命を危険にさらすことはできないという結論に達しました」(松山裕一・実行委員長)

 今年は大会名を「てしかが歩こうよ大会2024」とし、夜間歩行を伴わない約35~55キロのコースに変更する。

 松山さんは「コースは短くはなるものの、屈斜路湖や硫黄山を巡るコースは十分過ぎるほど美しい。チェックポイントで出す食べ物は手打ちそば、豚丼など例年以上にこだわって、パワーアップさせたい」

 7月6日開催。一般5千円(町民は3千円)、小学生以下無料。問い合わせはホームページ(https://www.100kmwalk.net/contact/別ウインドウで開きます)へ。

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