ガザ戦闘1年

 イスラム組織ハマスに奇襲されたイスラエルはパレスチナ自治区ガザへの攻撃の手を緩めず、国際社会が求める戦闘停止が実現する見通しは立たず、民間人の犠牲は増え続けています。国際社会や日本はどう向き合うべきなのか。上村司・日本政府代表(中東和平担当特使)に聞きました。

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 ――パレスチナ問題に日本はどう向き合ってきましたか。

 「1973年、第4次中東戦争で第1次石油危機が起き、アラブとの関係の重要性が認識されたことでパレスチナ問題に目が向けられるようになりました。この分野での日本外交の第一の基軸は、民族自決権に基づいてパレスチナ国家を樹立し、それがイスラエルと平和裏に共存するという『2国家解決』を実現することにあります」

 「二つ目の基軸は、イスラエルとヨルダン川西岸やガザの間にある経済的、社会的な格差の是正です。それなくして、永続的、公正な和平はあり得ません。西岸のエリコにある農産加工団地建設など、パレスチナの経済的自立を手助けする『平和と繁栄の回廊』の取り組みは日本独自のイニシアチブです」

 ――昨年10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲後、情勢は混迷を深めています。日本はどう対応してきましたか。

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 「ハマスによるイスラエルへ…

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