閉店後の建物の活用策について、長野県松本市が運営会社との協議を断念した松本パルコ=2024年4月19日、長野県松本市中央1丁目、小山裕一撮影

 来年2月末での閉店が決まっている長野県松本市のファッションビル「松本パルコ」について、臥雲義尚市長が建物や跡地の活用策をめぐって市が運営会社「パルコ」(東京都)と続けてきた協議を終了すると発表した。まちのにぎわい維持に向け模索してきた、市が関与する形での利用計画は白紙となった。

2025年2月で閉店する松本パルコ

 松本パルコは1984年に開業。新館と旧館の二つの建物からなり、地上6階、地下1階で、96年度には95億3600万円の売り上げを記録した。ただ、近年はイオンモールなどの競合する大型店出店に加え、顧客が実店舗からネット通販に流れるなどして、業績悪化に歯止めがかからない状況だった。昨年2月、2025年2月末で閉店する方針を発表していた。

 市はその後、中心市街地のにぎわい創出や市民の利便性向上のため、パルコとの協議を続けてきた。新館3階から6階の約5200平方メートルに学習スペースや交流スペースを備えた図書館や文化施設、子育て支援施設を設ける計画を示していた。

 この計画に対し、パルコ側は年間賃料を3億円と設定し、20年間の賃貸契約を市に求めた。新館の地下1階から地上2階にはパルコが新たな商業施設を再開させ、南側の旧館は解体し、跡地は売却する方針になっていた。

わずか477票差の当選 活用策に疑問符

 ところが、今年3月の同市長…

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