米ジョージア州アトランタで6月27日、米大統領選の候補者討論会で、共和党のトランプ前大統領が話すのを聞く民主党のバイデン大統領=ロイター
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 円安が止まりません。7月に入り、約38年ぶりの円安水準となる1ドル=162円目前まで下落しました。原因の一つが、バイデン大統領の「惨敗」とも評された米大統領選のテレビ討論会です。トランプ前大統領の再選が強く意識され、円安が長引きかねない「三つのリスク」が浮上しています。

 民主党で現職のバイデン氏と、共和党のトランプ氏が今年初めて激突したテレビ討論会は、6月27日夜に始まった。

 討論会前は年4.2%台だった米長期金利は、討論会の途中から上昇し始め、7月1日には約1カ月ぶりの水準となる4.5%目前に達した。為替相場では円を売ってドルを買う動きが強まり、3日には約38年ぶりの円安ドル高水準となる1ドル=161円90銭台まで下落した。

 金利の上昇のきっかけは、討論会でのバイデン氏の「悲惨」(米メディア)な姿だった。

 かすれた声、言い間違い、乏しい表情。くすぶっていた「高齢不安」が一気に噴き出し、民主党内ではバイデン氏の交代論すら取りざたされる事態に発展した。

 「討論会が金利の上昇を誘発したのは偶然ではない。討論会はトランプ氏の当選の可能性を高めた」

 金融サービス会社マッコーリーで為替相場や金利の動きを分析するティエリー・ウィズマン氏はそう指摘する。

 トランプ氏が大統領になれば、インフレ(物価高)が激しくなる。インフレは金利に上昇圧力をかける――。そんな連想が市場を駆け巡った。米国の金利上昇は、為替相場ではドル買いを促し、円安圧力になる。

 トランプ氏は、バイデン政権がインフレを抑えられていないと批判してきたはずだ。なぜそのトランプ氏が再選すると、インフレが激しくなると言えるのか。

 ウィズマン氏は「そこには三…

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