ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳さん(右から2人目)らと面会する石破茂首相(右端)=2025年1月8日午前10時4分、首相官邸、岩下毅撮影

 昨年のノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員らが8日、首相官邸で石破茂首相と面会した。メンバーらは受賞を報告したほか、日本政府として核兵器禁止条約(核禁条約)へのオブザーバー参加を求めたが、石破氏から明確な回答はなかったという。

 日本被団協によると、日本被団協の代表らが官邸で首相と会うのは、2009年に当時の鳩山由紀夫首相と面会して以来2回目。ノーベル平和賞受賞後に石破首相と直接会うのは初めて。

 面会は冒頭のみ公開された。石破氏はメンバーを出迎えると、「長年のご努力に対して、心から敬意を表し、感謝を申し上げる」と祝意を伝えた。

 田中さんらによると、その後の懇談では、日本被団協の役員7人がそれぞれ2分程度発言。広島で被爆した箕牧智之代表委員が、今年3月に米ニューヨークで開かれる核禁条約締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を要請。他のメンバーからも、長崎の被爆体験者に対する被爆者健康手帳の交付や、「国家補償としての被爆者援護」を求める声があがった。これに対し石破氏は、核禁条約には触れず、要請への明確な回答もなかったという。

 田中さんは記者団に「被団協として収穫ある会見にはならなかった。残念なことです」と述べた。今後早い時期に石破氏に質問状を出すほか、さらなる面会を求める考えを示し、「政府に対しても、総理に対しても、しつこく会見を申し入れて議論をしていきたい」と語った。

 核兵器の保有などを全面的に…

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