オリックスの椋木蓮は紅白戦で先発し、2回無失点だった=2025年2月13日、SOKKENスタジアム、大坂尚子撮影

 完全復活をめざすシーズンになる。

 プロ野球オリックスの4年目右腕、椋木(むくのき)蓮。13日の紅白戦に先発し、宗佑磨、杉本裕太郎ら打者6人を完璧に抑えた。2回無失点の内容に「(オフシーズンの)12月、1月にやってきたことが出せた」と表情を緩めた。

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 2021年秋のドラフト会議で1位指名され、東北福祉大から入団した25歳。プロ2戦目となった22年7月20日の日本ハム戦では、九回2死まで安打を許さない投球を披露した。ただ、最後の打者は追い込みながらも中前安打を許し、「ノーノー未遂」に。1987年の中日・近藤真一以来となる新人の無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)達成とはならなかった。

 鮮烈な印象を残した約2カ月後、右ひじのトミー・ジョン手術(内側側副靱帯(じんたい)再建術)を受けた。育成契約やリハビリを経て、昨季のオープン戦中に再び支配下契約に。昨季は10試合に登板し、大半がシーズン終盤の中継ぎだった。

 この間、葛藤もあった。

 「最初は(良かった)1年目(の姿)に戻ろうと思ったけど、どうしても同じ姿にはなれなかった」

 今は「(当時とは)別の人間」と割り切り、「今できる投球をしっかり続けて、最終的にシーズン10勝したい」と意気込む。

 先発復帰に向け、昨秋のキャンプから取り組んできたのが「ライズカットボール」の習得だ。

 元々、カットボールは持ち球の一つだった。ただ、「捕手にスライダーっぽいと言われた」。握りを少し変え、これまでのカットボールより7、8キロ速くなったという。直球のスピードに近づけることで、打者を惑わせるのが狙い。先発で長い回を投げるために球数を減らそうと、「初球でパッと打ち取れる球をめざしている」。

 この日の一回、1番の中川圭太への初球で試し、空振りを奪った。「試合後に『キレもよくていい』という風に言ってもらったので自信になった」

 一歩一歩、確かな手応えを感じながら進んでいる。=宮崎

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