ユーリー・ノルシュテインさん=東京・虎ノ門、2016年10月撮影

 耳を疑うとは、このことです。

 「どう名付けようとこれは戦争だ。双方の人間が死んでいる。その原因である2014年のことを欧州は思い出したくないようだ。戦争を始めたのはポロシェンコだ(←親欧路線を掲げこの年当選したウクライナ大統領)。彼は自国の町を爆撃し、自国の民を爆撃した。ルハンスクやドネツク(←親ロシア派武装勢力の拠点)の民だ」

 「ウクライナではプーシキン(←ロシアの大詩人)の像が倒された。ゼレンスキー(←ウクライナの現大統領)がやらせたことだ。これこそウクライナの野蛮性を現している。ゼレンスキーは卑しく、臆病な人間だ。人格に欠けているし、他人の人格を尊重しない。真実を直視できない人々の臆病さが今の悲劇を引き起こしている」

 東京のMorc阿佐ケ谷で14日から公開中の長編ドキュメンタリー「ユーリー・ノルシュテイン 文学と戦争を語る」の中で、ロシアアニメの巨匠ノルシュテインさんはこう語っています。「話の話」を、「霧の中のハリネズミ」を作った人が! 全く信じられないことです。やさぐれた気分になって帰り道に思わず「ノルがウヨになっちった」とつぶやいたら、は~あというため息と共に体中の力がぐったり抜けました。

 2019年にドキュメンタリ…

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