2025年3月9日、香港であった行事で演説するフィリピンのドゥテルテ前大統領=AP

 麻薬撲滅政策で数千人の死者を出した、世界的にも異例の「麻薬戦争」をめぐり、フィリピンのドゥテルテ前大統領が11日、逮捕された。国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状発付を受けたものだが、フィリピンはICCの加盟国ではない。なぜ逮捕に至ったのか。

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 11日朝、首都マニラのニノイ・アキノ国際空港には多くの報道陣やドゥテルテ支持者が詰めかけた。一部の支持者がドゥテルテコールを上げる中、本人は香港からの飛行機を降りた直後に拘束され、空港に隣接する空軍基地に移された。基地の門付近には、涙を流して逮捕に抗議する支持者の姿もあった。

 ドゥテルテ氏が問われているのは、南部ダバオ市長や副市長、大統領を務めた2011~19年の期間の「超法規的殺害」の疑い。警察組織や私設の「暗殺部隊」を率い、麻薬関連事件の容疑者に対する組織的で広範な殺害を主導したとされる。

 薬物犯罪を厳しく取り締まった点を評価する声もあるが、132人の子どもが犠牲になったことや、警官が報酬目当てに無実の人に罪を着せて殺害したケースなどが明らかに。ドゥテルテ氏は退任後、国会などで責任の追及を受けてきた。

記事後半では、フィリピンの専門家の見方を紹介します。

 一方、マルコス政権は逮捕に…

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