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ドイツの右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の集会に参加する党員ら=2025年1月25日、独東部ハレ、寺西和男撮影

 ドイツ総選挙が23日に行われる。メルケル前首相が所属した最大野党会派の中道右派「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」が世論調査で首位を維持し、政権交代の可能性が高まっている。相次ぐ外国出身者の犯罪を受けて移民政策が主要な争点となる中、右翼「ドイツのための選択肢(AfD)」が伸長し、2位につける。

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 「ドイツに永住権を持たない人々はできるだけ早くこの国を去るということを確実にする」

 メルツCDU党首は17日の選挙のテレビ討論会で、精神的な悩みを抱える移民や難民らへの支援についての質問にそう述べ、「ここに居住する権利を持たない何十万人もの人々に支援を提供することはできない。これらの人々は国を去らなければならない」と述べた。2015年にシリア内戦の激化などで欧州に難民らが避難してきた際、人道的な観点から受け入れや支援に前向きだったメルケル氏の姿勢から大きく転換している。

 13日には、南部ミュンヘンでアフガニスタン出身の男が運転する車がデモ隊に突っ込み、2歳の女児と母親が死亡し、37人が重軽傷を負う事件が起きた。相次ぐ外国出身者の犯罪に加え、難民に給付する社会保障負担などへの不満もあり、世論調査では68%が、今より少ない難民の受け入れを支持する。

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