ドイツ2千年の歴史は「東と西」の対立にあり――。ドイツの歴史をひとまとめにして本国や英国でベストセラーになった通史の邦訳が発売された。日本と同じ敗戦国、経済大国でありつつ、極右政党の急激な伸長も伝えられる複雑なお国柄の一端がうかがえる。

 8月末に出版された「超約 ドイツの歴史」(東京書籍)。英国の作家ジェームズ・ホーズが2017年に著した歴史概説書で、ドイツ語やイタリア語など約20カ国語に訳されている。ドイツでは15万部を超える大ヒット本に。邦訳は東京女子大学の柳原伸洋教授(ドイツ現代史)が指導する大学院生が翻訳し、柳原教授が監修した。「ドイツでは書店の歴史コーナーには必ずと言ってよいくらい並んでおり、一般市民も手に取る本だ」と柳原教授は話す。

ドイツとエルベ川

 ホーズは、ドイツの歴史を通じて、ドイツ東部を流れるエルベ川を境にする「東と西」の対立が続いてきたという、大づかみの構図を示す。

 2千年前、ゲルマン人を攻め…

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