Europe’s Trump Playbook: Offer Carrots but Warn That You Have a Big Stick

 トランプ大統領が欧州製品やサービスに対する関税引き上げの脅しを実行に移す事態に備え、欧州連合(EU)は昨年、一年を通して秘策を練ってきた。

 そして現在、こうした脅しが単なる仮定から、差し迫った可能性へと変わりつつあり、EUの計画の全体像が明らかになってきた。

 共和党支持層が多数派を占める州で製造された製品など、特定の政治的にデリケートな分野を標的に関税を課し、最大限の痛手を与える。回避可能な場合には、報復合戦[tit-for-tat competition]にエスカレートさせないようにする。機敏かつ断固とした対応を取り、場合によっては、米シリコンバレーの巨大テック企業を含むサービス企業を標的にする新たな戦術を採用する。

 これはまだ素案段階の戦略[rough playbook]にとどまっているという。検討中であることを理由に、匿名を条件に取材に応じた外交官3人が、概略を明かした。EUは可能な限り発動を避けたいという考えだ。第1の目標は、交渉を申し出て、トランプ大統領が求めている米国産ガスの購入拡大などの「アメ」をちらつかせ[dangling carrots]、貿易戦争を回避することだ。EU当局者は、EUと米国の貿易戦争は双方に自滅的な損害をもたらし、中国やロシアといった地政学的ライバルを利することになると警告している。

 しかし、トランプ氏は2月2日、EUは「確実に[definitely]」そして「間もなく[pretty soon]」関税に直面するだろうと語り、欧州を標的にしている。他方、欧州側は、融和策がうまくいかない場合には、反撃する準備が整っていると公言している。

 「我々は準備が整っている」。同4日にブリュッセルで行われた記者会見で、トランプ政権による関税引き上げに対抗する準備はできているかと問われた欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長はそう語った。

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トランプ流にどう対抗するか、EUは専門のタスクフォースを設けてシナリオを練ってきました。どんな内容なのか、NYTが迫ります。

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