中国・清華大学の達巍・戦略安全研究センター主任=斎藤徳彦撮影

 中国にとってトランプ氏は、1期目で「貿易戦争」を引き起こした張本人だ。今回も中国製品への関税引き上げを公言する。両大国の関係は、トランプ氏の再登板で悪化するしかないのか。米中関係が専門で、清華大学の戦略安全研究センター主任を務める達巍教授に聞いた。

達巍(ターウェイ) 専門は米中関係、米国のアジア太平洋地域での外交・安保政策。清華大では国際関係学部教授も担う。

 ――中国国内では、トランプ氏の再登板について、中国への圧力が高まるとの悲観的な見方が多いです。

 私もその一人でした。ですが、大統領選の後、訪米も経て、そこまで悲観的でもなくなっています。詰まるところ、トランプ氏は米国を偉大にしたいわけであって、中国を崩壊させたいわけでもないのです。

 中国が早々にトランプを「試練」と決めつければ、逆にチャンスを逃すことになりかねません。一方で、「取引ができる相手」とばかり見ていると彼が(攻撃的な)手を打ってきた時に準備不足となりかねません。結論を下すのはこの段階では早いということです。

 ――悲観的な見方が少し和らいだのはなぜでしょうか。

 選挙後のトランプ氏の中国への態度は、受け入れられるものです。「米国と中国が力を合わせればどんなことでも解決できる」との発言もありました。米中が対話をしていることは確かでしょう。

 政権中枢の人選も、複雑です。

政権幹部人事、「反中」だけでない要素

我々が考えていたよりも…

 ――まさにその人選では、主要ポストで中国へ厳しい見方を持つ候補者の起用が目立ちます。

 いえ、我々が考えていたより…

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