インタビューに臨むCNNのマーク・トンプソンCEO

 新聞やテレビなど既存メディアの役割が、世界で問われている。かつて英BBC、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)を率いたマーク・トンプソンさんは今、米CNNの最高経営責任者(CEO)として「変革」を指揮する。存在感を増すSNSと、トランプ政権下で強まるメディアへの圧力――。揺れ動くジャーナリズムの未来とは。

 ――センセーショナルな内容のフェイクニュースがSNS上で広がりやすい昨今の状況に、対処できると思いますか。

 「止めることはできないと思います。フェイクニュースはある種の『うわさ』です。SNSはうわさを作ること、拡散することをより簡単にしました。そうした情報に人々の興味がかき立てられていることも、現実の一部です。大切なのは、メディアとして自らの価値を保ち、ブランドを目立たせ続けることです。そうすれば、フェイクニュースの海に浮かぶ『真実の島』になることができるでしょう」

 ――昨年の米大統領選の期間中、トランプ氏は「移民はペットを食べる」などの発言で社会の混乱をあおりました。

 「私たちの仕事は、それに憤慨することではなく、事実を把握することです。政治家が選挙期間中に大げさな発言をするのは、よくあることです。発言に真実はあるのか。どこから生まれた話なのか。そうした基本的な問いに、答えようとするべきです。(トランプ氏の発言で名指しされた)オハイオ州スプリングフィールドは工場で労働力を必要としていて、移民の受け入れが奨励されていました。そうした背景を知って、きちんと伝えることが重要です」

 ――トランプ氏は、政権に批判的なメディアにしばしば攻撃的な姿勢をとっていますが、どう対処しますか。

 「私はこれを、政治家との闘…

共有
Exit mobile version