トヨタ自動車が8日発表した2024年3月期決算(国際会計基準)は、最終的なもうけを示す純利益が4兆9449億円(前年比101.7%増)だった。SMBC日興証券の集計によると、純利益としては、ソフトバンクグループが21年3月期に出した4兆9879億円に次ぐ額で、日本の製造業では初の4兆円超えとなった。
売上高は45兆0953億円(同21.4%増)、営業利益は5兆3529億円(同96.4%増)で、いずれも自社が打ち立てた日本企業の最高額を更新した。営業利益はこれまでの2兆円台を大幅に上回り、初めて5兆円の大台に乗せた。
一方、同時に発表した25年3月期の業績見通しは、売上高が46兆円(同2.0%増)、営業利益が4兆3千億円(同19.7%減)、純利益が3兆5700億円(同27.8%減)だった。
トヨタはこの1年、半導体不足が解消して各国で需要に応えられ、世界販売はグループ全体(ダイハツ工業、日野自動車を含む)で1109万台と過去最高、トヨタ単体(レクサスを含む)でも初めて1千万台を超えた。ハイブリッド車(HV)の販売が好調で、値上げや円安も利益を押し上げた。
だが、グループのダイハツや豊田自動織機で大規模な認証不正が発覚し、生産や開発のスピードの見直しも迫られた。宮崎洋一副社長は23年4~12月期決算の説明会で「良い決算ができる今だからこそ、あえて足場を固め、将来の種まきや挑戦のための余力をつくる」と述べていた。(稲垣千駿、江口英佑)
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