能登半島地震は、1月1日に発災から1年を迎える。復旧が進む一方、数字に表れない苦痛や苦労は多くの被災者に覆いかぶさったままだ。現状に即した政策・支援の必要性が、一層高まっている。被災地の「いま」を報告する。

写真・図版
㊧地震で多くの家屋が倒壊し、道路をふさいでいた=2024年1月2日、朝日新聞社ヘリから、細川卓撮影
㊨倒壊した家屋が解体され、更地になった場所もあった=2024年12月20日、朝日新聞社機から、長島一浩撮影

 復旧困難区域を除き、断水は100%解消した――。国や石川県は公式発表で、こうアピールする。ただ、被災者からは「地震前のように水が使える状況にはほど遠い」との声が上がる。なぜなのか。

写真・図版
水道被害の現状=山本美雪作成

 輪島市では地震後、最大1万1400戸が断水した。国土交通省の8月の集計では、市内の水道管の被害率は1キロメートルあたり1・6カ所にのぼった。2016年の熊本地震の0・03カ所(熊本市)を大きく上回る。

 断水は9月には市内全域で解消したとされる。だが、住民からの水道に関する問い合わせは12月に入っても後を絶たない。

 県によると、「断水の解消」…

共有