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照明を落とし、電飾に彩られた部屋で、ペンライトとマラカスを手にした約60人の高齢者らが、DJがかける音楽に合わせてリズムをとっていた。みんなノリノリ。「愛燦燦(さんさん)」や「マツケンサンバⅡ」など懐かしの歌謡曲が流れると、参加者のボルテージは最高潮に達した。
今年1月、掛川東病院(静岡県掛川市)に併設する介護老人保健施設「桔梗(ききょう)の丘」での光景だ。なぜ、施設が本物のディスコさながらに? どんな狙いがあるのかを探ると、背景には地方の病院を取り巻く事情があった。
施設で行われたイベントは「ロマンディスコ」。DJ「玄」として活動する介護福祉士の大滝亮輔さんと、ヒップホップユニット「RIP SLYME(リップスライム)」の元メンバー、SU(スー)さんがDJを務めた。
50分のイベントが終わると、参加者たちは一様に充実の笑顔をみせた。80代の男性は「とても楽しかった。若いころを思い出しました」と弾んだ声で語った。見学していた静岡市の介護福祉士、中村誠愛(みえ)さんは「病院や介護施設のなかで、こうしたイベントをするのは面白い。うちの施設にも来てほしい」と話した。
仕掛け人は、5年半前に同病院に着任した院長の宮地紘樹さん(45)だ。
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音楽を聴いて体を動かし、高…