佐賀県唐津市の離島、加唐(かから)島特産のツバキ油の搾りかすなどを使って、生ゴミを堆肥(たいひ)にするコンポストを商品化し、収益を島に還元するプランを作った県立唐津商業高校が、「全国高校生ビジネスアイデアコンテスト」で優秀賞に輝いた。
実学重視の同校では、商品を開発し、インターネットショッピングモールなどで販売する課題研究「からつ学美舎(まなびや)」に取り組んでいる。3年目を迎えたコンポスト作りもその一つで、今年度は3年生6人が担当した。
加唐島では、油を採取するツバキの種が年間2~3トン収穫されるが、その8割ほどを搾りかすとして廃棄してきたという。唐津の魅力発信と、環境を意識するきっかけ作りに役立ちたいと考えた生徒らは、このツバキの油かすに、国の特別名勝「虹の松原」で集めた使い道のない枯れ枝を使った「松枝チップ」、米店に分けてもらうなどした米ぬかを1セットにして売り出すことにした。
三つの組み合わせで実際に堆肥ができるか実験するなど商品化への道筋を、先輩が作り、今年度は販売までこぎ着け、約30セットを売った。メンバーの一人、小松琴音さんは「加唐島の人の声を直接聞いて得るものがあった。もっとコンポストを広め役立ちたいと思った」と振り返り、イベント販売のほか、校内に無人販売の箱を設置したという。
セット商品は「COCOKARA」と名付けた。コンポストの「CO」、ツバキの英語「camellia」の「C」、唐津の海を表す「ocean」の「O」、唐津と加唐島の「KARA」からとった。
10月に宇都宮市で開かれたコンテストで、生徒がこれまでの経緯を発表した。材料を入れる袋を再利用の米袋にすることなどで販売価格を1セット500円にすると、443円のもうけが出ることなどを示し、「商品の機能的価値だけではなく、情緒的価値を消費者・生産者・地域の人に届けることで、環境面(でのメリット)だけでなく、地域資源の活用を身近に感じてもらえる」と訴えた。全国44チームから応募があり、最優秀賞に次ぐ優秀賞2チームの一つに選ばれた。
指導した荒巻小百合・商業科主任は「持続可能な循環型の仕組みができあがったのが評価されたと思う。生徒たちが唐津のことをアピールしながら課題にしっかり取り組んだ成果」と話した。
引き続き、ツバキの搾りかすを、来春に運転開始予定の唐津市内のバイオマス発電所の燃料として利用してもらう取り組みや、商品化したコンポストで作った堆肥で花を育て、JR唐津駅周辺を彩る企画を考えているという。