インド北部ダラムサラに亡命しているチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が7月に90歳の誕生日を迎える。後継者選びへの関心が高まるなか、チベット亡命政府で行政を担うペンパ・ツェリン首相に、対立する中国との関係や日本への期待、後継者選びの対応などを聞いた。
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――チベットでは1月に大きな地震があり、126人が死亡、負傷者も多数出ました。
チベットに関する情報は限られており、実態は不透明です。余震もあると聞きますが、その被害状況もはっきりしていません。崩落した家屋の再建も課題です。
中国側は、チベットを「楽園」とうたってきました。ただ、我々が把握している限り、2009年~22年に157人のチベット人が焼身自殺を図りました。その多くは17~34歳の若者でした。
私は国際社会に対し、本当の楽園であれば、現地の人々は焼身自殺なんてしないと訴えてきました。
中国当局の統制が強まり、チベット文化や言葉の継承も非常に難しくなっています。自由を奪われ、チベット人としてのアイデンティティーを破壊されているのです。欧米諸国に移り住む人も少なくなく、我々はこうした人々との接点を持とうと、各国への訪問を続けています。
――中国当局との対話は続いているのですか?
2010年に対話が途切れましたが、現在は非公式レベルで対話のチャンネルはあります。ただ、特段何かを言及するような状況ではありません。
我々は長期的な観点で考えています。中国側でより賢明な指導者が登場した時に、その機会を得なければなりません。
――ダライ・ラマ14世は以前、90歳になる頃に後継者選びに関して明確にする意向を示していました。死去後に生まれ変わりを探し、後継者にする「輪廻(りんね)転生」という伝統を続けてきましたが、どのような方針ですか?
生前指名も選択肢の一つに
法王(ダライ・ラマ14世)…